皆様、土地家屋調査士という国家資格をご存じでしょうか?土地家屋調査士とは、不動産の登記簿(登記記録)の「表題部」の新設、変更・更正、閉鎖等の代理申請を行う土地建物の表示登記の専門家です。
今回も平成18年から施行された「筆界特定制度」の基礎知識についてお話しします。
筆界(ひっかい)特定制度とは、土地の所有者として登記されている人などの申請に基づいて、筆界特定登記官(法務局)が、外部専門家である筆界調査委員(土地家屋調査士、弁護士等)の意見を踏まえて、現地における土地の「筆界」の位置を特定する制度です。
(前回レポートはこちら ⇒ https://www.e-souzok.com/report/archives/510)
1. 誰から申請できるか?
①土地の所有者として登記されている人やその相続人
②共有土地の場合は共有者全員、もしくは、共有者の1人(単独で可能)
さらに特殊な例としては、
③無地番の土地(未登記の土地)は、その土地の所有者
④一筆の土地の一部の所有権を取得した場合、取得した人
が申請人になります。
要するに土地の所有者が申請人となりますが、地上権者や抵当権者など所有権以外の権利を有するものは申請人となりません。
2. 費用はどの位かかるのか?
①筆界特定の前提として筆界を確認する調査測量の費用(通常の測量代)
②筆界特定申請代理人である土地家屋調査士等へ支払う費用
③法務局へ支払う筆界特定申請の手数料
筆界特定申請の手数料は,土地の固定資産税課税台帳に登録された価格によって決まります。たとえば、申請人の土地とその隣の土地の価格の合計額が4,000万円である場合には、申請手数料は,8,000円になります。
※実際の場合には、お近くの土地家屋調査士へ、ご相談してください。
3. 筆界特定はどんな流れ?
①隣接土地所有者の立会の協力が得られない時
②立会はしたものの筆界についての争いがある時
③隣接土地所有者の行方がわからない時
など筆界が確認出来ない状態となってから筆界特定の申請となります。その後資料調査や現地調査、意見聴取などを踏まえ筆界が特定されます。
【筆界特定の流れについての図解】
【筆界特定の流れについて解説(抜粋)】
(1)筆界特定の申請 ・・・筆界が確認できない状態になってから申請できます。
(3)公告、通知・・・筆界の確認が出来ない隣接土地所有者及びその隣接土地関係人に法務局から
通知がゆきます。
(5)事実調査・・・法務局及び筆界調査委員が資料・現地調査を行います。
(6)意見聴取の期日・・・申請人及び隣接土地所有者から意見を聞く場が設けられます。
(8)筆界特定・・・筆界調査委員の意見を参考に筆界特定登記官が筆界を特定します。筆界の座標
値を特定する事で筆界が特定されます。通常現地でもポイントが示されます。
(境界標式は設置されません)
筆界特定がされると筆界特定書が作成され、交付されます。法務局に保管されるので、後に筆界特定書の写しの交付請求も出来ます。
今回も筆界特定の基礎知識をお話ししました。
相続される予定の土地の隣地との境界線で問題がある場合、直ぐに分筆登記が出来ず筆界特定が必要なケースもありますので、お近くの土地家屋調査士にご相談ください。