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単身で身寄りのない方の対策「任意後見制度」について

2012.02.01

現在、年齢に関係なく単身世帯が増加しております。

みなさんの周りの方にもいらっしゃるのではないでしょうか?

 

平成20年住宅・土地統計調査(総務省統計局)の資料をみますと高齢者のいる単身世帯は昭和58年で11.3%。平成20年で22.7%と約30年で2倍の割合で増えてきています。

 

若いときであれば「自由が得られる」など色々なメリットがあるかもしれませんが、年齢を重ねることによって、「自分が認知症になった場合に面倒を見てくれる人がいない」、「自分の死後、財産を処分をしてくれる人がいない」など色々な不安がでてきます。

 

そこで十分な判断能力がある場合に、将来、判断能力が不十分になった状態になった場合に備えて、予め自分が選んだ代理人に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与えることができる任意後見制度についてご説明をいたします。

 

やり方としては、例えばAさんという方がいます。

そのAさんはご主人がなくなり、ずっと独り身でした。

 

他に親戚は遠くにおり親しい付き合いもしていません。Aさんは自分の将来に不安を感じました。「もし認知症になったらどうしよう?」、そこでこの任意後見制度が登場します。まず友人でも親戚でも専門家でも誰でもいいのですが任意後見人という面倒を見てもらえる方を決めます。その方をB氏とします。

 

そしてB氏との間で公証役場に行きまして、公正証書で任意後見契約を交わします。B氏は受任者となります。

 

その後、Aさんが自分が少し物忘れがひどくなり不安を感じB氏に相談しました。実際に判断能力が低下した際の実際の申立ては、B氏のような受任者か、もしくは本人、四親等内の親族が家庭裁判所に申立てができます。

あとは家庭裁判所が選んだ任意後見人(この場合B氏)が特に問題がなければ、選任され後見がスタートします。

 

その後は、B氏、Aさんがお亡くなりになるまでの間、生活や療養看護及び財産管理に関する事務を行うことができます。気をつけていただきたいのは事務手続きであり生活全般を支えることとができるわけではありません。

 

ただこの任意後見制度は、実際に任意後見が発生してお亡くなりになるまでの間の事務手続きになりますので、任意後見発生までの、日頃の健康状態の把握などの見守りや、死後の葬式手配や、家の家財の、医療費の精算、役所への手続きはできませんし、財産がある場合の相続の手続きもできません。

 

ですので、日頃の見守りをお願いする場合は「継続的見守り契約公正証書」があり、死後の葬式等の手続きは「死後事務委任契約公正証書」があり、そして死後の相続が発生した場合は「公正証書遺言」がありますので、以上の3点セットをあわせて締結しておけば安心して生活を送ることができるのではないでしょうか。

 

よく成年後見人制度という言葉を耳にしますが、この制度は、例えば、ある人が認知症になった際に、家族が「もし勝手に財産を処分したら困ってしまう」といった場合に、配偶者や家族からの申請により、家庭裁判所がその後の財産管理を成年後見人という選んだ人によってあとの手続きを行えるようにしましょうという制度です。

 

つまり任意後見が認知症発生前で、成年後見は認知症発生後になりますので、発生後の手続きはどうしても他の方に依存するしかないことになります。

誰が後見人になるのかもわかりません。ですので事前の対策といった意味では任意後見制度を検討されてはいかがでしょうか?

 

ただ平成21年度の成年後見の申立て件数は27397件に対し、任意後見の申し立ては、まだ534件と少ない状況です。

単身の方で遺言は書いているので大丈夫と思っていらっしゃる方も、特に任意後見契約や死後事務委任契約についてもご検討されてはいかがでしょうか?

 

弊社でもご相談を受け付けることができます。お気軽にご相談ください。

何卒宜しくお願いします。

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筆者紹介

伊瀬知 晃
福岡相続サポートセンター
代表取締役 会長

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